第5回 番外編
「ボランティアと人権」講義要旨
2、人権とは何か
人権は、
個人が国家や他者による介入を拒否できる「自由権」
(精神的自由、人身の自由、経済的自由など)
個人の尊厳を保障するために国家に請求できる「社会権」
(生存権、勤労の権利など)
とに分けることができる。
3、ロックの人権論 「水源池モデル」への批判
4、科学と政治における検証主義と反証主義
a、科学の場合
(1)「真理の水源池モデル」としての公理体系
(2)現代では、公理への承認は、科学者集団の合意/規約に由来する
(3)これは、科学の検証主義に似ている。
観察データ →(検証)→ 理論 → 予測
(4)反証主義
b、政治の場合
(1)国民の投票/声 → 議会の決定/声 → 法律
(2)法律の正当性は、批判の可能性が保証されていることによって、
獲得されている。
c、人権の場合
(1)「国民」は憲法によって人権を認められる
(2)これでは、本当に他者の人権を尊重していることにならない
人権は、現実の個々の対面関係において、互いに承認し合うこと
によって、そのつど創造され確認されるというプロセスの中にのみ、
成立する。
(3)このように人々が、互いに一人の人間として出会い、向かい合い、
認め合う、という関係の中でも、重要なものが、ボランティアである。
5、ボランティアの捉え方
(1)私的な活動としてのボランティア <重視される要素>
(a)チャリティーのボランティア(他人のための道徳的行為) 無償性
(b)自己実現のボランティア (自分のための文化的行為) 自発性
(2)公的な活動としてのボランティア
(c)社会参加のボランティア (社会のための公的な行為) 公共性
6、公共性とは何か
7、ボランティアによる市民的公共性の可能性
図1 ョ「「「「ホ「「「「「ホ「「「「「ホ「「「「「イ
、自発性 、 無償性 、 公益性 、
、
セ「「「「゙「「「「「゙「「「「「゙「「「「「「
、 ○ 、 ○ 、 ○ 、ボランティア
、
、 ○ 、 ○ 、 × 、 あそび 、
、 ? 、 × 、 ○ 、 仕事
、
カ「「「「ヨ「「「「「ヨ「「「「「ヨ「「「「「「
図2
ョ「「「「「ホ「「「「「ホ「「「「「ホ「「「「「「
、 自己実現 、社会貢献 、お金儲け 、 、
セ「「「「「゙「「「「「゙「「「「「゙「「「「「「
、 ○? ・ ○ 、 ○ 、 仕事
、
、 ○ 、 ○ 、 × 、 ボランティア 、
、 ○ 、 × 、 × 、 遊び 、
カ「「「「「ヨ「「「「「ヨ「「「「「ヨ「「「「「「
図3(この表が未完成)
システム 生活世界
(成果を志向) (相互了解を志向)
ョ「「「「「イ ョ「「「「「「イ
ョ゙「「「「「゙「「゙「「「「「「゙「「イ
、、行政機構 、 、市民的公共圏、 、 公的領域
ガ「「「「「゙「「゙「「「「「「゙「「コ 「「「「゙「「゙「「「「「「゙「「イ
、、市場経済 、 、私生活圏 、 、 私的領域
ガ「「「「「゙「「゙「「「「「「゙「「コ
「「「「コ カ「「「「「「コ
(花田達朗『公共圏という名の社会空間』のp.171の図を参考に、
変更を加えたものです。)
図4 フォーマルセクター インフォーマルセクター
行政セクター
産業セクター
市民セクター(第三セクター)
<参考文献>
1、金子郁容『ボランティア』岩波書店
2、ジョン・ロック『市民政府論』鵜飼信成訳、岩波文庫
3、宮崎繁樹編著『解説 国際人権規約』日本評論者
4、柴田善守『社会福祉の歴史とボランティア活動』大阪ボランティア協会発行
5、ハンナ・アーレント『人間の条件』中央公論社
6、ハーバーマス『公共性の構造転換』未来社
7、花田達朗『公共圏という名の社会空間』木鐸社
8、デビッド・コーテン『NGOとボランティアの21世紀』学陽書房
9、入江幸男「ボランティアと<人権>概念」(『哲学者たちは授業中』ナカニシヤ書店)
10、内海、水野、入江編『ボランティア学を学ぶ人のために』世界思想社近刊