前回10月下旬に研究会での発表があると書いたのは、9月下旬の間違いでした。それは科研共同研究の中での発表でした。その時の発表原稿「論理的関係は問答関係に内在する」を私のHPにupしました(https://irieyukio.net/ronbunlist/presentations/PR49.pdf)。
次のような目次で話しました。
1 推論規則の従来の正当化の限界
2 論理的関係は、問答関係に内在する
3 様相関係は、問答関係に内在する。
4 規範関係は、問答関係に内在する。
5 規則に従うということ、論理法則への驚き
1,2,3の内容は、このカテゴリーで話してきたことと重複していますが、その時の話より整理されたものになっています。
全体の趣旨はこうです。まず言いたかったことは、論理規則を規約によって設定することは出来ますが、なぜそのような論理規則を設定することになるのかについての説明は従来為されていません。論理的概念やその使用法である論理規則は、問いと答の関係の中にすでに含まれている、ということです。さらに、この考えを、様相関係や規範関係にも拡張できるだろうということを断片的に示しました(こちらは、より説得力のある議論にしたいと思っています。)最後の5では、規則とそれへの気づきとの関係について書きましたが、もう少し一般的な形で拡張して議論する必要があると思っています。
この5につづけて、最後に次のような付記をしました。
「付記:
論理的概念や推論規則といえば、世界を正しく記述するために必要なものとして理解されがちである。しかしそれは、論理的概念や推論法則にとって最も重要な働きではないだろう。しかし、そもそも言語は、群れでの共同生活のために作られてきたのだと思われる。つまり、決定疑問や補足疑問は、他者と問答するため、コミュニケーションするために作られたのだと思われる。したがってそれらに含まれる論理的関係は、他者との問答が成立するために、必要だったのであり、当初は世界についての正しい認識のために必要だったのではない。論理的規則や様相概念や規範概念は、原初的には他者との問答のなかに内在するものである。」
今回、<論理的関係や様相関係や規範関係が、問答関係に内在すること>を論じていた時、理論的な問答、あるいは認識における問答を念頭において論じていました。しかし、原稿を仕上げて全体を振り返ったときに、論理的関係や様相関係や規範関係が、内在している問答関係は、理論的な問答に限らず、他者との原初的な問答の中に内在するはずだと気づきました。そして、それらばな、実践的問答や宣言的問答にも当てはまるはずであることに気づきました。
<論理的関係や様相関係や規範関係>が、三種類問答(理論的問答、実践的問答、宣言的問答)に内在するとするとき、<論理的関係や様相関係や規範関係のそれぞれは、問答の種類が異なるとき、内容が少し異なるものになる>ということが、予想されます。もっとも違い大きいのは、規範関係であるかもしれませんが、論理的関係や様相関係でも違った内容になるだろうと予想します。
次回から、これについて考察したいと思います。