149 どのような仕方で意思決定の問いを問うかは、より上位の目的に依存する(How we ask decision questions depends on higher objectives)(20250322)

(3月19日に大河内さん主催の「推論主義研究会」で「ブランダム=ヘーゲルの承認論とフィヒテの承認論」というタイトルで発表しました。その準備の段階で「共同承認」というアイデアを思いついたので、これを展開したいと思っています。その時の発表原稿については、こちらをご覧ください。

https://irieyukio.net/ronbunlist/presentations/PR50.pdf

この発表準備のため、このカテゴリーでの更新が中断していました。)

前回見たように、現実の行為のためには、多くの事柄を決定しなければならなりません。お昼ご飯を、「いつ」「どこで」「誰と」「何時に」「何を」食べるか、などを決定しなければばならないのですが、実際に設定する意図決定の問いは、例えば、その一部を明示化した次のようなものになります。

  「何を食べようか」

こう問うときには、すでに多くのことが暗黙的に決定されているでしょう。まだ決定していないこともあるかもしれませんが、それはこの問いに答えた後、あるいはこの問いに答える途中で答えることができるでしょう。どのような仕方で行為の決定を問うか、つまり「何をするか」を問うことは、どの要素を重視するかに依存しています。

行為のある要素を他の要素より重視するのは、より上位の目的の実現にとって、その要素が重要だからででしょう。

(この後は、宣言的問答についての考察したいと思います。)

148 二つの意思決定問答の関係(Relations between the two decision-making questions)(20250308)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

前回、意思決定の問答が、より上位の意思決定の問答を持つことがあること、そして、そのような二つ意志決定の問答の順序は入れ替わることがありうることも示しました。

 ここではまず、そのような二つの問答は、入れ子型の関係ではなく、直列関係と並列関係になることもあり得ることを示したいと思います。

#二つの意思決定問答が直列する場合。。

「お昼を何にしようか」

「お昼はうどんにしよう」

「お昼はどの店に行こうか」

「あのうどん屋にいこう」

この場合、最初の問答の答えを暗黙的な前提として、第二の問いを立て、それに答えています。

#二つの意思決定問答が並列する場合。

「お昼ごはんをどうしようか」

  「お昼を何にしようか」

  「お昼はうどんにしよう」

  「お昼はどの店に行こうか」

  「あのうどん屋にいこう」

「お昼ごはんは、あのうどん屋でうどんにしよう」

この場合は、並列する二つの意思決定の問答は、より上位の意思決定の問いに答えるために行われています。この問答において、「お昼はどの店に行こうか」を「お昼はうどんにしよう」ということを前提しないで問うているのならば、中間の2つの問答は、どちらを最初に行ってもよい横並びの関係、つまり並列の関係にあります。

#意思決定の多面性

前回の最後に「すべての意思決定問答は、このような関係にある別の意思決定問答をもつのでしょうか」と問うたのですが、ここではそれに「はい」と答えたいと思います。

例えば、次の実践的問答

「お昼に何を食べようか?」

「お昼はうどんを食べよう」

における答えの意思決定を実行するためには、他にも多くの事柄の規定を追加しなければなりません。

「<私は>、<あそこのうどん屋で>、<今日の>お昼にうどんを食べよう」

ここで追加した条件は、「私は今日のお昼に何を食べようか」という問いに暗黙的に含まれている場合もあれば、この問いを問うた時には、まだ規定されていないこともあると思います。「誰が」「どこで」「いつ」などについての問答は、すでに行われているのかもしれないし、これから行われるのかもしれないし、これらの問答は、互いに、入れ子型の関係になるのかもしれないし、直列型、並列型の関係になるのかもしれません。

意思決定の問答においては、その問答で焦点が当たっている条件以外の条件についても、明示的であれ、暗黙的であれ、決定しなければ、その答えを実際に実行することが出来ませせん。

 ある状況で、行為を決定するには、多くの意思決定をする必要があるということです。つまり意思決定の問いを問うときには、多くの必要決定事項の中から一つを選択しているのです。では、この必要決定事項の選択は、どのように行われるのでしょうか。つまり、意思決定の問いの設定は、どのように行われているのでしょうか。  これを次に考えたいと思います。

147 意思決定の問答はより上位の問いをもつのか (Do decision-making questions have higher-level questions?) (20250303)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

前回の最後に、次のように書きました。「前回までは、実践的問答もまたより上位の問答を持つと考えて議論していましたが、それは間違いであったかもしれないと思うようになりました。次回はこれを検討します。」

今回は、これを考えたいと思いますが、これまで「実践的問答」と呼んできたものをこれからは「意思決定問答」と呼ぶことにします。「実践的」という表現が多義的で曖昧であるために、「実践的問答」で意味していることが、誤解される可能性が高いからです。「意思決定問答」とは、答えが意思決定となる問答であり、その答えは真理値をもちません。ただし、実現可能か実現不可能か、という区別をもち、実現可能な意思決定であるとき、それを正しい答えとよび、実現不可能な意思決定であるときそれを誤った答えと呼ぶことにします。

(したがって、以前には、問答を、理論的問答、実践的問答、宣言的問答の三種類に区別していましたが、これからは記述的問答、意思決定問答、宣言的問答、の三種類に区別することになります。)

・意思決定問答の答えが、別の意思決定の問いに答えるために役立つということがあるでしょうか。

次の意思決定の問答について考えましょう。

「お昼を何にしようか」「お昼はうどんにしよう」

この答えは、次の問いに答えるときに役立ちます。

「お昼はどの店に行こうか」

「お昼を何にしようか」

「お昼はうどんにしよう」

「あのうどん屋にいこう」

この2つの問答は、次のように逆の順番になる場合あります。

「お昼を何にしようか」

    「お昼はどの店に行こうか」

「あのうどん屋にいこう」

「お昼はうどんにしよう」

この2つの問答

「お昼を何にしようか」「お昼はうどんにしよう」

「お昼はどの店に行こうか」「あのうどん屋にいこう」

については、どちらも他方をより上位の問答とすることが可能です。このようになるのは、<お昼の食事をする>という目的のために、どちらも決定しなければならないからです。

 お昼ごはんに何を食べるかを決定すれば、どの店に行くかが限定されます。どの店に行くかを決定すれば、何を食べるかが限定されます。そして、どちらを先に決定する事もできます。

 ところで、すべての意思決定問答は、このような関係にある別の意思決定問答をもつのでしょうか。 これを次に考えたいと思います。(ところで、前回は、実践的問答(意思決定問答)のより上位の問答を見つけることが難しいと思っていたのですが、そのように思われた理由についても、もう少し考えたいと思います。)