147 意思決定の問答はより上位の問いをもつのか (Do decision-making questions have higher-level questions?) (20250303)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

前回の最後に、次のように書きました。「前回までは、実践的問答もまたより上位の問答を持つと考えて議論していましたが、それは間違いであったかもしれないと思うようになりました。次回はこれを検討します。」

今回は、これを考えたいと思いますが、これまで「実践的問答」と呼んできたものをこれからは「意思決定問答」と呼ぶことにします。「実践的」という表現が多義的で曖昧であるために、「実践的問答」で意味していることが、誤解される可能性が高いからです。「意思決定問答」とは、答えが意思決定となる問答であり、その答えは真理値をもちません。ただし、実現可能か実現不可能か、という区別をもち、実現可能な意思決定であるとき、それを正しい答えとよび、実現不可能な意思決定であるときそれを誤った答えと呼ぶことにします。

(したがって、以前には、問答を、理論的問答、実践的問答、宣言的問答の三種類に区別していましたが、これからは記述的問答、意思決定問答、宣言的問答、の三種類に区別することになります。)

・意思決定問答の答えが、別の意思決定の問いに答えるために役立つということがあるでしょうか。

次の意思決定の問答について考えましょう。

「お昼を何にしようか」「お昼はうどんにしよう」

この答えは、次の問いに答えるときに役立ちます。

「お昼はどの店に行こうか」

「お昼を何にしようか」

「お昼はうどんにしよう」

「あのうどん屋にいこう」

この2つの問答は、次のように逆の順番になる場合あります。

「お昼を何にしようか」

    「お昼はどの店に行こうか」

「あのうどん屋にいこう」

「お昼はうどんにしよう」

この2つの問答

「お昼を何にしようか」「お昼はうどんにしよう」

「お昼はどの店に行こうか」「あのうどん屋にいこう」

については、どちらも他方をより上位の問答とすることが可能です。このようになるのは、<お昼の食事をする>という目的のために、どちらも決定しなければならないからです。

 お昼ごはんに何を食べるかを決定すれば、どの店に行くかが限定されます。どの店に行くかを決定すれば、何を食べるかが限定されます。そして、どちらを先に決定する事もできます。

 ところで、すべての意思決定問答は、このような関係にある別の意思決定問答をもつのでしょうか。 これを次に考えたいと思います。(ところで、前回は、実践的問答(意思決定問答)のより上位の問答を見つけることが難しいと思っていたのですが、そのように思われた理由についても、もう少し考えたいと思います。)