肉体はレンタル商品になりえない

人間の肉体は、レンタルのDVDと同じ意味では、レンタル商品になりえないように思われる。違いはなにだろうか?

レンタルDVDでも、借りている期間は、自由に使ってよいということではない。それにキズをつけてはならない。それをコピーしたりネットに公開したりしてはならない。それをまた貸ししてはならない。それを上映して不特定多数の人を集めてはならない。などなど、たくさんのこまかな規定があるだろう。人間の肉体と労働力をレンタルしているときも同様に、さまざま配慮すべき事柄があるだろう。レンタルDVDを借りているときに守るべき規定は、貸し手の権利、あるいは著作権者など関係者の権利を保護するためのものであろう。これは、雇用契約でも同じであろう。

では、違いはなにだろうか。最も重要な違いは、DVDはレンタル契約の主体ではないが、労働者は、レンタル契約の主体であるということである。

「人間の肉体はレンタル商品になりえない。」
証明
1、人間の人格はレンタル商品ではない。
2、人格と肉体は不可分である。
3、人間の肉体がレンタル商品であるならば、人間の人格もレンタル商品である。
4、したがって、人間の肉体はレンタル商品ではない。

前回と同じような推論です。
1を~pとし、3をq→pとし、4を~qとすると、

~p
q→p
∴~q

という推論になります。