仕切り直し

 
 
23 仕切り直し (20130106)
 
 久しぶりにこの書庫に戻って来ました。
 「会社は社会組織であるか」という問題に手間取っていましたが、会社は、社会組織であると思います。なぜなら、利益の追究が会社の目的であるとしても、一人では追求できない利益を複数の人間が会社を作って追求するのならば、それは複数の人間にしか解決できない社会問題を解決するための社会組織だと言えるからです。(この場合の「社会問題」という語の用法が、通常の用法から少し離れているので、それがこの問いの扱いを混乱させていたのだと思います。しかし、複数の人間でしか解決できない問題を解決する複数の人間が「社会」を構成するのであり、その問題を「社会問題」と呼ぶという定義に忠実に考えるならば、会社は、社会組織です。)
 
 ところで、ドラッカーによると、会社の基本的機能の一つは「マーケティング」です。マーケティングとは、市場での取引、あるいは販売促進活動です。会社は市場と貨幣を前提しています。市場は、「安定的に財の交換をおこなうにはどうすればよいのか」という社会問題を解決するために作られた社会制度だといえるでしょう。市場は、最初は、場所と時間が限られる仕方で、例えば、一定の場所で定期的に開かれる物の交換場所として登場したと思われます。もし定期的でなければ、それは単なる物の交換であって、市場とはいえません。物の交換が、定期的にある場所で開かれる市場として制度化される時、その運営が必要になります。つまり市場はひとつの組織であり、社会制度の一つです。
 会社は、市場や貨幣という社会制度を前提して、そこで生じる社会問題を解決するための社会組織の一つだと言えます。
  ところで、ポランニーは、人類の歴史上の経済システムは、互酬性、再分配、交換の3つにわかれると言います。市場は、交換のために作られた社会組織です。経済を考えるには、もう少し基礎的なところから考える必要があるようです。
 
 そこで、ここで少し仕切り直ししたいと思います。この書庫を読みなおして、「問答としての社会」という図式において気になる点は、次の3つです。
  「経済活動はこの図式とどう関係するのか」
  「文化はこの図式とどう関係するのか」
  「個人問題と社会問題の関係をどう理解するのか」
 
そこでまずしばらく「経済活動は、この図式とどう関係するのか」という問いに答えたいと思います。