[カテゴリー:問答の観点からの認識]
#問いに対する推論による答えの真理性の正当化について
*実質推論の学習と実質問答推論の学習
*推論の基礎p→r
推論の基礎は次の推論規則MPです。
p、p→r┣r
これの基礎はp→rという命題です。p→rは、pが成立したら、rが成立するという関係にあるということです。MPの正当化を考える前に、ここではp→rという形式の条件文や信念はどのようにして生じ、正当化されるのかを考えたい。p→rの信念は、次の種類に分けられるます。これらがどのようにして生じるのかを考察しよう。
(1)論理関係がその一つである。
「これはリンゴである」→「これは果物である」
「全てのカラスは黒い」→「このカラスは黒い」
「これはリンゴである」→「少なくとも一つリンゴがある」
「これは果物ではない」→ 「これはリンゴではない」
「このカラスは黒くない」→「全てのカラスが黒いのではない」
「リンゴは一つもない」→「これはリンゴではない」
(2)因果関係がその一つである。
「雨が降る」→「道路が濡れる」
「道路が濡れていない」→「雨が降っていない」
- の論理関係は、概念間の無時間的概念関係です。この無時間的概念関係は、規約に基づくものであり、規約が変化しない限り変化しない確実な関係である。この論理関係の学習は、次のように行われるでしょう。
「リンゴ」の学習は、「これはリンゴですか」「はい、これはリンゴです」「いいえこれはリンゴではありません」などの正しい問答を何度も教えられて、新しい対象について「これはリンゴですか」と問われたときに、正しく答えられるようになった時に完了すると説明しました。このとき、リンゴとリンゴでないものの区別ができるようになっています。
同様にして「ナシ」を学習したとしましょう。。このとき、「あるものがリンゴでありかつナシであることはない」ということは、「リンゴ」「ナシ」の学習を終えている者には、「リンゴ」と「ナシ」の意味から推論できます。「リンゴでありかつナシであるものはない」や「リンゴであるものはナシではない」「ナシであるものはリンゴではない」は、「リンゴ」と「ナシ」の意味に基づいて推論され、正当化されることになるでしょう。
次に、「これがリンゴであるならば、これは果物である」という条件法について考えてみます。これを全称命題に変形したものが「(全ての)リンゴは果物である」という命題になります。これらの認識の発生について考えてみましょう。
「果物」という語の学習はどのように行われるのでしょうか。一つの可能性は、「リンゴ」の学習と同様に、多くの対称について「これは果物ですか」「はい、これは果物です」「いいえ、これは果物ではありません」という問答を学習して、未知の対象についての「これは果物ですか」という問いに、正しく答えられるようになるということです。この場合は、「リンゴは果物である」は(「リンゴはナシでない」の場合と同様に)、「リンゴ」と「果物」の意味に基づいて推論され、正当化されます。
もう一つは、「木や草になる間食用の果実」などの、定義によって、「果物」という語の意味を学習することです。これは、定義に用いられる語の学習を前提としますが、それを前提できるとします。この場合、「リンゴは、木や草になる果実である」と「リンゴは、間食用である」が言えれば、「リンゴは、木や草になる間食用の果実である」が推論でき、そこから「リンゴは果物である」が推論できます。
「リンゴは、木や草になる果実である」は、「リンゴは、木になる果実である」から推論できます。「リンゴは、木になる果実である」は、対象<リンゴ>が性質<気になる果実である>をもつこと(木になっていること)を経験によって知ることによって正当化できます。
「リンゴは間食用である」は、(「間食用」を学習済みであるとすると)対象<リンゴ>が性質<間食用>をもつこと(間食に食べられていること)を経験によって知ることによって正当化できます。
次に、p→rが(2)因果関係を表示する場合を考察したいと思います。(MPの正当化の説明は、そのあとになります。)