[カテゴリー:問答の観点からの認識]
技術的問答を「目的を実現するための方法を問う問答」と定義するとき、それは次の二種類に区別されます。
(a)目的を実現するための必要条件を問う問答
「Bを実現するために、何をしなければならないか」
「Bを実現するために、Aをしなければならない」
(b)目的を実現するための十分条件を問う問答
「Bを実現するために、どうすればよいか」
「Bを実現するために、Aをすればよい」
この(b)は、次のように言いかえることもできます。
「どうすれば、Bを実現できるのか」
「Aすれば、Bを実現できます」
このような技術的問答は、因果関係を問う問答とも実践的問答とも異なるものであるので、まずそれを説明します。
#技術的問答と因果関係の問答の差異実践的問答
「Aが生じれば、Bが生じる」
という因果関係の記述は、次の問いの答えとなります。
「Aが生じれば、何が起きますか」
「何が起きれば、Bが生じますか」
このような因果関係についての問答は、技術的問答ではありません。それは観察的問答か理論的問答になるでしょう。二つの個別的出来事の間の一回的因果関係の記述であれば、観察的問答の一種であり、二種類の一般的出来事の間の法則的因果関係の記述であれば、理論的問答の一種です。
技術的問いに答えるときには、このような因果関係についての問答を前提として利用することになります。因果関係についての問答は、二つの出来事の関係についての問答ですが、技術的問答は、行為と状態の関係についての問答です。
#技術的問答と実践的問答の差異
次に、技術的問答は実践的問答とも異なります。なぜなら、技術的問答の答えは真理値をもつ記述であるが、実践的問答の答えは意図決定であり、真理値を持たないからです。例えば、次の問答は、実践的問答です。
「Bを実現するために、どうしようか」「Bを実現するために、Aしよう」
実践的問答は、意図と意図の関係についての問答である。
このような技術的問答は、さらに下位区分できそうですが、それは後回しにして、次に「規範に関する記述的問答」を考察し、その下位区分を考えてみたいと思います。