カテゴリー: グローバル化のゆくへ
ポストモダンが「大きな物語」の消失を言い始めていた頃から、実は新たな「大きな物語」が登場し始めていました。それは世界のグローバル化です。グローバル化とは、簡単に定義するならば、大量の人、もの、金、情報、が国境を超えて地球規模の広がりで流通する社会の出現ということです。冷戦の終わり、インターネットを代表とするコミュニケーション手段の急速な進歩によって加速されており、現在も進行中であり、当分は続くでしょう。この変化が現代社会における最も重要な変化であることは、ほぼ自明のものとしてグローバルに共有されているといえるのではないでしょうか。
ここでは、「グローバル化とは何か」「グローバル化にどう対応すべきか」に応えたいと思います。
「私たちはグローバル化にどう対応すべきか」
か?
グローバルな社会は、<グローバルな共有知>で構成される
夏の彫刻
02 グローバルな社会は、<グローバルな共有知>で構成される (20120722)
①グローバルな人・物・金・情報の流通によって、社会問題もまたグローバル化します。グローバルな社会問題とは、環境問題、金融問題、難民問題、食糧問題など、グローバルな社会的取り組みによってのみ解決できる問題のことです。このようなグローバルな取り組みのためには、グローバルな取り組みが必要であることがグローバルに共有される必要があります。
②ところで、グローバルな共有が可能なのは、(CNNのニュースのような)断片的な情報です。分厚いコンテクストをもつ知は、伝統を持つ共同体の中でしか共有されません。断片的な情報は、グローバルに共有されることが可能であり、またグローバルに共有されていることがグローバルに共有されることも可能です。つまり、断片的な知のみが、<グローバルな共有知>(これの明確な規定は、今後の課題である)になることが可能なのです。
③他方、社会構成主義のいうように、私たちの世界が、知によって社会的に構成されているのだとすると、社会を構成する知は社会に共有されている<共有知>である必要があります。そして、構成されるのが、グローバルな社会であるときには、それを構成する共有知は、<グローバルな共有知>である必要があります。そして、上記のように、断片的な知のみが、<グローバルな共有知>になりうるのです。
④こうして、グローバルな世界は、断片的な情報で構成されており、その情報は、歴史や複雑な組織化や階層をもたず水平的に並列することになります。グローバルな社会は、断片的で水平的な情報によって構成された、ある意味では薄っぺらな社会です。(200年くらいすると、グローバルな社会そのものも歴史を持ち、分厚いコンテクストをも通用になるかもしれませんが、いまのところ、グローバルな社会は、希薄な共有知で構成されているにすぎません。しかし、それでもそれが私たちの社会の最終の拠り所なのです。)