[カテゴリー:問答の観点からの認識]
(3月にブランダムに関する研究会で発表する予定ですので、その準備を兼ねて、しばらくブランダムの概念実在論と問答推論の関係について考えたいと思います。)
このカテゴリーの第56回から65回までブランダムの「概念実在論」をめぐって考察しました。そこでは、ブランダムの推論主義を問答推論主義へと展開しようとするとき、ブランダムの概念実在論をどのように変更する必要があるのかを論じようとしましたが、ブランダムについての勉強不足もあって、十分に論じきれませんでした。現在でもまだ勉強不足なのですが、もう一度その問題を論じたいと思います。
まず、ブランダムの『信頼の精神』(A Spirit of Trust、ST)の大枠を確認したいと思います。この本は、ヘーゲルの『精神現象学』の「意味論的読解」(ST p.3)であり、それの「合理的再構成」(ST, p.1)を意図するものです。「意味論的読解」とは、「概念内容」を中心とピックと考える読解です。「合理的再構成」については次回に「概念的観念論」を説明するときに説明します。
ブランダムは、この本で、ヘーゲルの観念論が次の3つの段階(概念的実在論、客観的観念論、概念的観念論)からなると考えます。この構造が、意味論的読解の大枠です。
次にこの3段階を説明します。