61 少し足踏み (20220213)

(アップが遅くなりすみません。)

「認識の三角形」についてより詳しく説明することが次の課題でした。「認識の三角形」について、前回の最後に次のように説明しました。

「ある事実の表示のためには、少なくとも二つの命題がそれを表示する必要があります。二つ以上必要です。つまり、一つの事実と二つの命題からなる認識の三角形が成立する必要があります。

ここでは、「命題が事実を表示している」ということが前提となっています。事実を問答関数と考えることによって、「命題が事実を表示(あるいは表現)する」という捉え方を避けていたのに、ここで不用意にその言い方を採用してしまっていたことに気づきました.これは再考の必要がありそうです。

そこで、認識の三角形を説明する前に、「命題が事実を表示している」と言えるのかどうかを検討したいと思います。どこから手を付けるべきか迷うのですが、フレーゲの論文「思想」の議論を紹介し、それを問答推論の観点から検討することを手掛かりにしようと思います(フレーゲは、そこで文のSinn(意義)は「思想」であり、文のBedeutung(指示対象)は、(事実ではなく)真理値であると主張していました)。それを踏まえて、事実についての問答関数論をもう一度考察して、それから「認識の三角形」について改めて論じなおしたいと思います。

「概念実在論」に対する代案をどう考えるかは、認識論と存在論にとってとても重要な基礎なので、しばらく足踏みにお付き合いください。