久しぶりに訪れた森の中です。生き返ります。
19 組織と規則 (20120807)
前回確認したことは、<あらゆる組織が規則によって成立し、あらゆる規則が組織において成立する>ということでした。
ところで、社会にはさまざまな組織と規則があります。それらはどう関係しているのでしょうか。その関係は社会問題によってうまく説明できるでしょうか。
これを考えるために、つぎのように論点を分けて考えたいと思います。
①組織と組織の関係
②組織と規則の関係
③規則と規則の関係
①どのような組織があり、それらはどう関係しているのでしょうか?
組織の要素が、人であるとすると、組織と組織の関係は、二つの集合の関係として考えられます。二つの集合の関係は、
(a)全体-部分関係 (たとえば、国家と地方公共団体、大学と学部)
(b)交差関係、 (たとえば、国家と国際企業、愛知県とトヨタ)
(c)独立 (たとえば、大阪府と奈良県、トヨタとホンダ)
の三つです。
②組織と規則の関係もまた、組織間の関係に応じて、3つに分けることができます。
(a)組織が全体-部分関係にあるときの、組織と規則の関係を考えましょう。
たとえば、国家と県の場合、県にとって、国家の規則である法律は、それに従うべきものです。県の設置そのものが、地方自治法にもとづいています。
県の規則である条例は、法律に反しないことを条件とします。
私たちの前提によれば、国家は、国家によってのみ解決できる社会問題の解決のために設立されたはずであり、県もまた、県によってのみ解決できる社会問題の解決のために設立されたはずです。もしその県が、国家(の法)によって設置されているのだとすると、それは国家が、ある問題の解決のために県を設置したということである。この場合には、国家と県は、別の組織というよりも、県という組織は、国家という組織のその一部分であるといえます。
しかし、全体と部分の関係にある二つの組織が、つねにこのような関係になるわけではありません。たとえば、奈良県の中で、奈良市に住む住民だけで作られているNPOがあるとき、このNPOは、日本国の法律や、奈良県や奈良市の条例に拘束されますが、このNPOは、日本国や奈良県や奈良市の組織の一文であるのではありません。仮にこのNPOがNPO法によって、NPOとして承認された組織であるとしても、このNPOは、日本国という組織の部分組織ではありません。
ところで、このNPOは、この組織によってしか解決できない社会問題を解決するために作られた組織だといえるでしょうか。他のNPOでも解決できるかもしれませんし、あるいはその問題は、奈良市によっても解決できるかもしれません。それでも、このNPOが、社会問題を解決するために作られた組織であるということはいえます。なぜなら、社会問題は次のように定義されたからです。
「社会問題とは、ひとやグループが社会によってのみ解決できるような問題として申し立てる問題である」
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