03 憲法9条と「囚人のディレンマ」ゲーム

03 憲法9条と「囚人のディレンマ」ゲーム (20150505)

囚人のディレンマ」ゲームとは、互いにコミュニケーションできない人たちが、自己の利益が最大になるように合理的に考えて行為するとき、全体としては最悪の状態になることを示すゲームである。これは、これまでも米ソの軍拡競争の愚かさを示すことなど、政治の分析に使われてきた。現在、安倍自民党政権がやろうとしている政策は、近隣国との相互不信を前提にするならば、自国の利益を最大にする合理的な選択であるのかもしれない。そしてその政策は、近隣国にも、同様に合理的に考えて同様の政策をとることを促す結果になるだろう。そして、地域全体としては最悪の状態を選択することになってしまうだろう。

これを回避するには、当事者たちがコミュニケーションを図り、相互信頼を醸成することによって、全体として見たときの最善の状態に到達すべく協力することが必要である。米ソが軍縮に成功したのは、まさにこの対話路線をとったことによる。

したがって、安倍政権が相互不信を前提にした「合理的」選択をしようとしていることは、大きな間違いなのである。そもそも相互不信を招いた最大の原因は、安部政権が、15年戦争について中国や韓国に対して「お詫び」する必要はないと「解釈」していることにある。安倍政権が近隣諸国との間に相互不信を招き、その相互不信を前提に「合理的」な選択をするという愚かな方向に日本と近隣諸国を向かわせている。

ハト派や護憲派の戦略は、リアリティのない無責任な考えではない。「囚人のディレンマ」ゲームを踏まえた、リアリティのある説得力のある選択なのである。タカ派の戦略は、「囚人のティレンマ」ゲームを理解しない、あるいは過去のその経験から学習しない、愚かな選択である。

投稿者:

irieyukio

問答の哲学研究、ドイツ観念論研究、を専門にしています。 2019年3月に大阪大学を定年退職し、現在は名誉教授です。 香川県丸亀市生まれ、奈良市在住。

「03 憲法9条と「囚人のディレンマ」ゲーム」への1件のフィードバック

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