06 世界人権宣言と戦争行為 (20220410) 

[カテゴリー:平和のために]

(前回への補足:戦争をするのは国家なので、国家がなくなれば、戦争はなくなるという主張があるかもしれませんが、仮に国家がなくなっても、世界共和国の内部での内戦という形での戦争は起こりえます。したがって、戦争を失くすには、世界共和国ができるにせよできないにせよ、やはり武器を失くす必要があります。)

 前回の続き:では、軍事力の放棄を国際法とするには、どうすればよいでしょうか。

 戦争は、人を殺したり傷つけたりすることなので、人権侵害であり、許されないことです。

しかし、なぜそれが行われるのでしょうか。国家が自国内の個人の人権を侵害してはいけないことは、多くの国の憲法で保障されているでしょうが、国家が他国の個人の人権を侵害してはいけないことは、憲法で規定されていません。戦争は、他国の個人の人権を侵害することです。たいていの憲法では、外国人を含めた地球上の全ての人の人権を保障していないだろうとおもいます。もし憲法に地球上のすべての人の人権を保障するという条項を加えるならば、そこには戦争を放棄するということが含まれるでしょう。

 1948年に国連総会で採択された「世界人権宣言」には、第三条「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する」とありますが、これもまた自国内の人に対して人権を確保すべきことを述べているだけのように読めます。前文の最後に次のようにあるからです。

「よって、ここに、国際連合総会は、
 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。」

この「世界人権宣言」には拘束力がないので、これに続いて「国際人権規約」が締結されましたが、これもまた、各国が自国内の人々に人権を確保すべきことを明記しているだけです。例えば、これによって、もしミヤンマーがこれを批准していれば、現在の軍事政権に対して国民の人権を確保するように求めることは出来ますが、ただしミャンマーはこれを批准していません。

まずは、世界人権宣言の前文の最期の部分を次のように変える必要があるでしょう。

「「よって、ここに、国際連合総会は、
 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、世界のあらゆる国、地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。」

原子爆弾は人道に反する武器だと言われるのですが、原子爆弾に限らずすべての武器は人道に反するものであり、廃止すべきだとおもいます。ただ、実現のための妙案がなかなか思いつきません。