08 もう一つのシミュレーション

urbeさん、コメントありがとうございました。
読むのが遅れてしまいましたが、昨日私が書いたことが、urbeさんのコメントに対する、応答になるだろうとおもいます。たしかに、赤ちゃんによる自分の意図の理解をどのようなものとして理解するかが、問題です。

代案を提案するまえに、もう少しトマセロの主張を確認しておきたいとおもいます。

幼児の発達心理学では「誤信念問題」というのが有名な事例です。それは、幼児は、自分が知っていることは他者も知っていると間違って信じているということです。この間違いをしなくなるのは、4,5歳なのですが、そのためには、他者が自分とは独立の心をもつ主体であるという理解が必要です。
このりかいについても、トマセロはシミュレーションで説明しようとします。

「生後9ヶ月で乳児が意図をもつ主体として他者を理解するようになることを説明するのにシミュレーションというプロセスを採用したのに続いて、本書では、幼児が他者を心を持つ主体として理解するようになることを説明するためにもシミュレーション説を援用する。」235

このシミュレーションは、「自分自身の思考や信念を新しい仕方で理解するようになること」(235)を前提すると考えられています。