本当の理由が本当の理由になる理由

財政赤字の原因が、富裕層と法人への減税であるとしたら、それをもともに戻すことが、その解決なのです。そのときに常に言われるのが、そうしたら、富裕層や法人が外国に逃げ出すということです。あるいは企業の国際競争力が落ちると言うことです。
じつは、税率を下げるときにも同じことが言われてきました。しかも、先進国はまったく同じ理由によって、まったく同じようにこれらの税率を下げてきました。

最近は、財政赤字に取り組まないことが将来世代への負担の押し付けになる、という世代間不公平が喧伝されています。将来世代の負担といっても、高い消費税率や年金カットで苦しむのは、将来の中流、下流の人々です。世代間不公平より重大なのは、階層間不公平です。今すでに、我々は階層間不公平の付けを支払わされています。

財政破綻しても富裕層や大企業が損をしないことが、財政赤字が増大し続ける本当の理由だと書きました。
しかし、なぜこれが理由になるのでしょうか。
国家の政策は、国民の世論や国民代表者によって決定されいているのではないでしょうか。それならば、国民の大多数である労働者の意見が反映されないのは、どういうことでしょうか。
それは、国民の世論がマスコミによってコントロールされているからではないでしょうか。
そして、マスコミは、スポンサーである大企業によってコントロールされているのではないでしょうか。

企業の政治献金も問題ですが、企業のマスコミ献金(広告スポンサーになること)が問題なのではないでしょうか。

などと偉そうなことを言っても、今のところ、代案はありません。

財政再建に取り組まない本当の理由?

現在の日本はなんだか長いトンネルの中を走っているみたいです。

「格差問題」の書庫で以前に2008年10月16日に書きましたように、先進国の財政赤字の原因は、1980年代から富裕層の所得税率と法人所得税率を下げたことにあるとおもいます。
したがって、財政破綻を防ぐには、それらを元に戻すことが必要だと考えます。
しかし、そのように主張する政党がないのはどういうことでしょうか。

しかし、このままでは財政破綻が目に見えています。それでは、なぜその回避にとりくまないのでしょうか。その応えは、財政破綻しても、富裕層や大企業は困らない、ということです。

もし日本が財政破綻すれば、どうなるでしょうか。赤字国債の買い手が見つからず、国債の借金を返済できなくなったとき、おそらく日本政府はIMFに財政支援を求めるはずです。そのとき、IMFがなにをするかは、韓国の通貨危機のときにすでにわかっています。あるいは、現在ギリシア政府が行っている政策でわかっています。

それは、消費税率をあげること、公務員の給与削減、国家予算の大幅なカットであり、
企業支援のための雇用の流動化、投資を促すための投資家保護、です。

結局、財政破綻して、IMFが乗り込んできても、大企業や富裕層は何も損をしません。ひどい目に会いそうなのは、労働者であり、中流、下層の人間です。

目覚めよ!

などと偉そうなことを言ったとしても、こんなことを言うだけでは、何も変わらないのです。