グローバルな社会は、<グローバルな共有知>で構成される

     夏の彫刻

02 グローバルな社会は、<グローバルな共有知>で構成される (20120722)

①グローバルな人・物・金・情報の流通によって、社会問題もまたグローバル化します。グローバルな社会問題とは、環境問題、金融問題、難民問題、食糧問題など、グローバルな社会的取り組みによってのみ解決できる問題のことです。このようなグローバルな取り組みのためには、グローバルな取り組みが必要であることがグローバルに共有される必要があります。

②ところで、グローバルな共有が可能なのは、(CNNのニュースのような)断片的な情報です。分厚いコンテクストをもつ知は、伝統を持つ共同体の中でしか共有されません。断片的な情報は、グローバルに共有されることが可能であり、またグローバルに共有されていることがグローバルに共有されることも可能です。つまり、断片的な知のみが、<グローバルな共有知>(これの明確な規定は、今後の課題である)になることが可能なのです。

③他方、社会構成主義のいうように、私たちの世界が、知によって社会的に構成されているのだとすると、社会を構成する知は社会に共有されている<共有知>である必要があります。そして、構成されるのが、グローバルな社会であるときには、それを構成する共有知は、<グローバルな共有知>である必要があります。そして、上記のように、断片的な知のみが、<グローバルな共有知>になりうるのです。

④こうして、グローバルな世界は、断片的な情報で構成されており、その情報は、歴史や複雑な組織化や階層をもたず水平的に並列することになります。グローバルな社会は、断片的で水平的な情報によって構成された、ある意味では薄っぺらな社会です。(200年くらいすると、グローバルな社会そのものも歴史を持ち、分厚いコンテクストをも通用になるかもしれませんが、いまのところ、グローバルな社会は、希薄な共有知で構成されているにすぎません。しかし、それでもそれが私たちの社会の最終の拠り所なのです。)