資本主義の暗い未来
・経済のグローバル化によって資本の移動が用意になり、資本は安い労働力を求めて、中国やインドや東南アジアに移動しています(いずれは、アフリカへ)。そのために、そこでの労働力への需要は高まり、賃金は上昇しています。先進国の労働力への需要は減少し、賃金は下降しています。この動きは、最終的には、世界の賃金が均一化するまで続くでしょう。経済外的要因がそれを押しとどめようとしても、資本家は政治家に働きかけて、その要因をなくしてゆくでしょう。
・現在、資本は国境を超えて移動し、外国に工場を作ったりしますが、労働者は国境を超えて自由に移動できません。労働者が国境を越えて自由に移動できるようになったとき、国家の三要素(領土、主権、国民)の中の国民という概念がなくなります。
・日本経済は外国人労働者を受け入れない限り、活性化することはないように思います。もし1990年代に外国人労働者を受け入れていれば、日本経済は活性化していただろうと推測します。移民を受け入れることは、労働者が国境を越えて自由に移動することとは、異なりますが、そのための前段階だと言えます。
・他方で、技術の発達により、人間労働が機械によって代替されつつあります。物をつくる労働は、おそらくすべて機械に置き換わるでしょう。ロボットの能力は人間の能力を追い抜いて、人間よりもよりよい物を作れるようになるし、ロボットの価格には下限がありえないのに対して、人間労働の価格には、人間労働の再生産を可能にするための下限があるからです。
・かつて私が少年であった頃には、いずれロボットが生産してくれて、人間は労働から解放されるのではないかと夢想しました。しかし、今やロボットがどんなに発達して人間の労働に置き換わったとしても、人間の生活は楽にはならないことが分かりました。なぜなら、私たちが生活するにはお金がいるのですが、ロボットによって私たちの賃金は下がり、職場は少なくなるからです。
・現在インターネットの普及によって、流通の中抜きが進んでいます。生産者が直接に消費者に売るのです。例えば、本も、作家がつくった作品のデータを直接に読者に売るようになるでしょう。音楽もそうです。ニュースもそうなるかもしれません。そのときに、編集という仕事が重要なものに成るかもしれません。もう一つ重要なのは、宣伝です。
・重要な人間労働として残るのは、商品開発と宣伝になるかもしれません。宣伝は商品の良さを宣伝するので、最も重要なのは、商品開発です。よい商品を作ることです。
・私たちはどうしたらよいでしょうか。ロボットにできない高度な職業人、自営業者、資本家になれればよいでしょう。高度な職業人と自営業者はアッパ・ミドルを形成し、資本家は富裕層を形成し、その他の人々は、ロボットの価格と競争する低賃金労働者になるでしょう。
・これがグローバル資本主義の暗い未来です。
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ratikきむらです。
全ての情報を網羅する「データベース」と、そこから必要なものを或る程度の精度で取り出してくれる有能な「検索エンジン」さえあれば、「編集」という仕事も必要なくなるかもしれませんね。
同じように「宣伝」に関しても、大きなネット販売サイトで自動的に示される「あなたへのおすすめ」によって、私たちの消費行動が知らぬうちに形づくられているように思います。
こうした時代において「よい商品」とは「よく売れる商品」ということになるのでしょうか。この時、私たちに残された「仕事」の可能性はあまりありません。
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ratikきむら・つづきです。
あるいは、入江さんが仰っている「商品開発」が「今は売れないけれど、必要で、その意味で、将来売れる見込みがあるもの」を産み出す営みであるとすれば、少なくとも「今」は、人が「仕事」をする(すなわち報酬を得られる)余地があるかもしれません。しかし、このニッチにおいてすら、「ビッグデータ」の取り扱いが急速に進むと、私たちよりも機械のほうが、ずっと上手に「仕事」をすることになるでしょう。
一人、あるいは少数の者によって「イチ抜けた」が出来ないところがまた、グローバル資本主義の「暗さ」を増しているように思います。
追伸。
ようやくratik、電子書籍の新刊を出せました。
http://ratik.org/2441/201312252/
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ratik きむらさん
新刊発行おめでとうございます。
AI自身が経済活動の主体になるという未来までも考えないことにすると、どんなにコンピュータやインターネットが進歩しても、それを利用して、商品を売ろうとするのは、人間であり、商品を買うのは人間であることになります。商品開発と編集は厳密にはわけられないことであり、どちらもなくなることはないようにおもいます。ただし、確かに「商品開発」も「編集」ももう少し厳密に定義する必要がありますね。
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