05 権利と義務を、問答に関する権利に還元できるだろうか? (20200609)

[カテゴリー:問答の観点からの権利論]

#権利・義務・禁止について

 <Aする権利がある>とは、Aすることが自由であるということである。つまり、Aすることもしないこともできる。それゆえに、Aをする権利がないときには、Aをする義務があるか、Aすることが禁止されているか、のどちらかである。従って、ここに3つの場合がある。

   Aする権利がある

   Aする義務がある

   Aすることが禁止されている。

ただし、Aすることが禁止されているとは、Aしない義務があるということと同じである。

#すべての権利と義務を、問答に関する権利に還元できるだろうか?

①<Aする権利がある>とは、Aを自由に行えるということである。言い換えると、誰かに「Aしてもよいですか?」と問う義務がなく、かつ、他者からの「何故Aするのですか」という問いに答える義務がないことである。(言い換えるとAに関する問答から解放されているということ、さらに言い換えると、Aに関して問答無用である。)

②<Aする義務がある>とは、Aすることに関する問い(「なぜAしなければならないのですか?」とか「どうしてもAしなければならないのか?」など)への権利がない(つまり、それらの問いへの答えが得られなくても、また答えに不満があっても、行為しなければならない)ということである。(言い換えると、問答無用でAしなければならない、ということである。)

権利一般ではなく、特定の個人間の権利や義務については、次のようになる。

③<Xは、Yに対してAする権利がある>=<Yは、XがYに対してAすることを受け入れる義務がある>

 XはYに「Aしてもよいですか?」と問う必要がない。XはYの「なぜAするのですか?」という問いに答える必要がない。Yは「なぜXの行為Aを引き受けなければならないのですか?」という問いへの答えを得られなくても、またその答えに不満があってもAを行わなければならない。

④<Xは、Yに対してAしてもらう権利がある>=<Yは、Xに対してAする義務がある>

もしXさんが望めば、YはXに対してAを行わなければならない。<Aする義務がある>とは、「Aをしなければなりませんか?」とか「なぜAをしなければならないのですか?」などと問うことができない、ということである。

以上の説明は、<…する権利がある>や<…する義務がある>から、問答に関して何が帰結するかを述べているものである。つまり、<Aする権利がある>や<Aする義務がある>の下流推論を述べており、上流推論については何も述べていない。しかし、上記の下流推論があれば、ある権利を問答の権利に還元できるのではないだろうか。

この点を明確にするために、次に問答の権利と義務について考えてみよう。

投稿者:

irieyukio

問答の哲学研究、ドイツ観念論研究、を専門にしています。 2019年3月に大阪大学を定年退職し、現在は名誉教授です。 香川県丸亀市生まれ、奈良市在住。

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