[カテゴリー:『問答の言語哲学』をめぐって]
最後に「¬」を検討しましょう。
¬の導入規則:p→⊥┣ ¬p
¬の除去規則:¬¬p┣ p
(の除去規則は直観主義論理では成立しないので、ここでは古典論理で考えます。)
これらは、それぞれ、次のようになるでしょう。
¬の導入規則:Q、p→⊥┣ ¬p
¬の除去規則:Q、¬¬p┣ p
Qの具体例としては、次が考えられます。
¬の導入規則:?(p)、p→⊥┣ ¬p
¬の除去規則:?(p)、¬¬p┣ p
¬pの相関質問は、場合によっては、?(¬p)という否定疑問文の発話であるかもしれませんが、しかし?(p)という問いの答えには、┣pである場合と┣¬pである場合があるので、?(p)が相関質問になる場合の方が多いでしょう。
ところで、¬の導入規則と除去規則を連続して適用するにはどうしたらよいのでしょうか。それがうまく考えられません。ベルナップもダメットもブランダムも、論理結合子の保存拡大性を説明するときに、一般的に語るだけで、全ての論理結合子についての網羅的個別的に説明しているわけではないので、「¬」の保存拡大性をどのように証明できると考えていたのか、不明です。
それが分かれば、問答論理での「¬」の保存拡大性の証明に応用できるとおもうのですが、残念です。
あるいは、「¬」については、
¬p=df p→⊥
という定義を用いて説明し、その保存拡大性は、「→」の保存拡大性から証明できると考えていたのかもしれません。そこで、私たちも問答推論における「¬」の保存拡大性を、問答推論における「→」の保存拡大性にもとづいて証明できると考えることにします。
残る課題は、疑問表現の導入規則と除去規則と保存拡大性の説明です。