176 技術的問答をどう位置付けるか(How to position technical Q&A)(20260705)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

(ここでは、認識について、また最近は、時間認識について、考えており、それに取り組みたいのだが、今回は技術的問答について再考したい。)

1. 技術的問答は真理値をもつ

技術的問答とは、一般に次のような形式をもつ問答である。

  • 「Aを実現するために、どうすべきか」
  • 「Bをすべきである」

この種の問答における答えは、「BをすることによってAを実現できる」あるいは「BをしなければAを実現できない」という前提から導出される。この答え「Bをすべきである」は、行為を指示する規範的命題である。

規範的命題「Bをすべきである」が、規範的事実を記述しているとみなされるならば、それは真理値をもつと言えるだろう。(規範的命題が規範的事実を記述していると考えることは、規範の実在を認める立場とみなされるかもしれないが、この点は別途検討する。)

確かに、この条件文の後件は規範的命題である。しかし、条件文全体「Aを実現するために、Bをすべきである」は規範的命題ではなく、規範的事実の実在を前提しない。この条件文は、前件と後件の論理関係を主張しているだけである(ただし、この条件文を理解するには、規範文の意味理解を前提とする)。

技術的問答は、その答えによって目的が実際に実現できるのであれば、真であると言える。したがって、条件文「Aを実現するならば、Bをすべきである」は真である。

条件文「Aを実現するためにBをすべきである」は、「Aを実現するためには、Bをすることが必要である」と書き換えられ、さらに「Bをするならば、Aを実現できる」と言い換えられる。この条件文は、実際にBを行うことでAが実現できることを確認することによって、真であると検証できる。

ただし、「目的を実現できる」ということは、目的がすでに実現されているということではない。「目的を実現できる」「BをすることによってAを実現できる」「BをしなければAを実現できない」は、いずれも様相命題であり、様相命題もまた真理値をもつ。

技術的問答は、この様相命題を前提とし、それに依拠して答えを導出する。

2. 記述的問答と技術的問答の差異

記述的問答は、事態についての記述を求める問答である。 これに対して技術的問答は、事態の変え方を求める問答である。

  • 記述的問答の真理条件:事態と一致していれば真
  • 技術的問答の真理条件:事態を変えることができれば真

この意味で、技術的問答の真理は「技術の真理」あるいは「プラグマティックな真理」と呼べる。

3. 技術的問答と意思決定の問答の差異

技術的問答と意思決定の問答の間には明確な違いがある。

  • 技術的問答の答え:真理値をもつ記述
  • 意思決定の問答の答え:意図決定であり、真理値をもたない

しかし、両者はしばしば近接して現れるため、混同されやすい。

3.1 意思決定の問いと技術的問いの連接

例として、次の問いは意思決定の問いである。

  • 「Bを実現するために、どうしようか」

この問いに答えるために、次の技術的問答が行われる。

  • 「Bを実現するために、どうすればよいか」
  • 「Bを実現するために、Aをすればよい」

技術的問いへの真なる答えは複数ありうる。したがって、AはBを実現するための必要条件ではなく、十分条件となる。

  • 「Bを実現するために、Cをすればよい」
  • 「Bを実現するために、Dをすればよい」

複数の十分条件がある場合、実践的な問いに答えるには、その中から一つを選択しなければならない。問答として明示すれば次のようになる。

  • 「Bを実現するために、どうしようか」
  • 「Bを実現するために、Aを選択しよう」

この答えが実行可能であれば、正しい答えである。しかし、「Cを選択しよう」「Dを選択しよう」もまた正しい答えである。意思決定の答えは記述ではなく、真理値をもたない。

3.2 適切性による選択

選択は恣意的である場合もあるが、より上位の目的に照らして適切性を基準に選ぶ場合もある。例えば次のような記述的問いによって選択が行われる。

  • 「A、C、Dの中で最も早くできるのはどれか」
  • 「最も簡単にできるのはどれか」
  • 「最も安くできるのはどれか」

これらは記述的問いであり、より上位の問いではない。

4. 技術的真理の複数性と意思決定

技術の真理は常に複数ありうる。しかし、現実に目的を実現するには、その中から一つを選択しなければならない。

私たちは、複数の記述的問いをすべて問い、それぞれの答えを考慮し、そのうえで目的を実現する方法を選択する。この技術的問答と記述的問答を前提として、意思決定の問いに答えることになる。

一般に、意思決定の答えは事前意図を形成することであり、その後に現実的な行為が続く。意図の実現が容易であれば直ちに実行できるが、方法が分からなければ「どうやって実現するか」という技術的問いが生じる。

5. 技術的問いの下位分類

技術的問いは次のように区別できるだろう。

  • 狭義の技術的問い
  • 実務的問い(実践的技術的問い)
  • 問答論的問い

次回は、この下位分類について検討する。