08 交換手段=問題解決手段 (20130715)
人がお金である商品(財、サービス、など)を買うのは、その商品が必要だからです。その商品が必要なのは、通常は(買った商品をより高く売るためではなく)その商品によって何かの問題を解決するためです。それは飢えを満たすことであったり、寒さをしのぐことであったり、住まいを快適にすることであったり、気分転換をすることであったりするかもしれません。個人が抱えている多くの問題を、商品(財、サービス、など)の購入によって解決することができます。
たとえば、自動車の修理が必要な場合には、その問題を解決するために必要なことは、それに必要な代金を稼ぐことです。ほとんどの問題は、その解決に必要なお金を稼ぐことで解決できます。お金は、万能ではありませんが、ある程度、一般性を持つ問題解決手段です。この場合、問題の大きさは、解決のために必要な金額で表現できます。
お金が問題解決手段となるのは、個人の問題に限りません。国家は、社会問題を解決するために作られた組織ですが、国家は、軍隊や警察や刑務所、裁判所や病院や学校、などの組織によって様々な社会問題を解決しようとします。そのとき、国家は、力を行使する権利を必要とするだけでなく、その活動のためのお金を必要とします。軍隊や警察の権力を持つためには人件費や施設や装備を購入するためのお金が必要です。そのためには徴税が必要になります。この場合にも、問題の大きさは、解決のために必要な金額で表現できます。
もちろん、お金で解決できない問題もたくさんあります。個人の場合には、死、老化、病気、就職、進学、結婚、出産、などの問題、国家の場合には、領土問題、戦争責任問題、人権侵害などの問題です。会社のかかえる問題にもおそらくお金で解決できない問題があるでしょう。
とりあえず、私たちは個人や社会の問題をつぎの3つに分けることができます。
①お金で解決されている問題
②お金で解決可能であるが、支払い能力を超えているためにお金で解決できない問題。
③お金では解決不可能な問題。
イノヴェーション(新商品の開発など)によってある問題を解決することは、(ある場合には)、③ないし②の問題を①の問題に変換することです。(イノヴェーションには、他のケースもあるでしょう。)
「私達の社会は多くの問題をお金で解決している社会です」
これはごく当たり前のことですが、このテーゼのもつ含意が汲み尽くされていないように思えます。
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