88 BSDから概念実在論を考える  (20230325)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

#BSDから概念実在論を考える

BSDでブランダムが論じるのは、「語用論的に媒介された意味論」であり、具体的には語彙を運用する実践に媒介された語彙と語彙の関係です。BSDが、概念実在論と関係するのは、対象を指示するof志向性の語彙の意味を、語用論的に媒介された意味論で説明するからです。

#of志向性とthat志向性の説明

of志向性とは、「Xさんが、対象Yについて(of)、pと信じる(pと推測する、pかどうか疑う)」(X believes of Y that p)などで表現される志向性である。他方、that志向性とは、「Xが、pということを信じる(pと推測する、pかどうか疑う)」(X believes that p)などで表現される志向性である。Of志向性は、対象Yを指示して、それについてpと信じること(あるいは他の志向的態度をとること)です。

#コミットメントの両立不可能性の客観的側面と主観的側面

BSDでは、主張やコミットメント間の両立不可能性が生じることは、一つの対象を前提することから生じると説明します。また両立不可能なコミットメントを修正しなければならないという規範性は、コミットメントの主体が一つであることから生じると説明します。

これによって、<対象>と<主体>の形而上学的構築が行われると説明します。

・両立不可能な複数の主張を修正して、両立不可能性を解消することは、一つの対象を形而上学的に構築することである。

・両立不可能な複数のコミットメントを修正して、両立不可能性を解消することは、一つの主体を形而上学的に構成することである(cf. BSD193)

主張やコミットメントの両立不可能性を取り除くプロセスがどうじに、対象と主体を構成するプロセスなのです。このプロセスは、事実の概念構造の客観性を説明するプロセス、つまり概念実在論のただしさを説明するプロセスでもあります。このプロセスは、志向性の語彙の運用によって行われます。その運用実践は、「理由を与え求める」実践ですが、問い答えるの実践でもあります。

何かしっくりしない、曖昧な、話ですみません(こういうとき、私は背中がムズムズします)。次回は、主張やコミットメントの両立不可能性の議論を問答の観点から見直したいと思います。