79  注:自然の斉合性原理と走性や無条件反射(20220613)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

(オペラント行動の失敗について考察中ですが、自然の斉合性原理と走性や無条件反射の関係について注を付けさせてください。)

走性や無条件反射は、過去の経験の痕跡(記憶)を必要としないので、自然の規則性ついての予期を必要としません。したがって、それらの失敗は、事実と感覚刺激とのズレの意識を生じさせず、もっぱら事実が変化した場合として処理されるだろうと推測ます。

ただし、走性や無条件反射もまた、自然が規則的であることによって、生存に有利に機能するメカニズムです。なぜなら、走性や無条件反射は、刺激に対してつねに同じ仕方で反応するからです。刺激に対して常に同じ仕方で反応することで、良い結果が得られるとみなすことは、自然の規則性を想定しています。ただし、これらの生物は、刺激に対して常に同じ仕方で反応することでよい結果が得られると見なしているのではありません。刺激に対してつねに同じように反応する生物が、自然選択で生き残ったということです。

同じ刺激に対してつねに同じように反応することが可能になるためには、あたえられた刺激を他の刺激と同じ刺激としてみなす必要があります。

無生物(たとえばビリヤードの球)も同じ刺激に対して同じように反応します。これは、無生物がある法則に従っているということです。物理法則や化学法則に従っているということです。

走性や無条件反射の生物が、同じ刺激に同じように反応するというのは、物理法則や化学法則とは少し異なります。正の走光性は、光の刺激が来たら、そちらの方向に移動するという反応をするということです。

生物の法則を物に当てはめることは、アニミズムであり、物の法則を生物に当てはめると唯物論ないし物理主義になります。ダーウィンは、唯物論+「自然選択」で生物の法則を説明しました。自然の規則性を想定した反応が、生存に有利であったということです。しかし、なぜそれは生存に有利だったのでしょうか。

もし自然に規則性があるのなら、その規則性を想定した上で行動することが、自然の規則性を想定しない行動よりも、生存に有利になるでしょう。なぜなら、ある刺激に対して生存に有利な反応があるなら、同様の刺激に対して同様の反応をすることがまた生存に有利なものになるからです。自然の規則性を想定する反応が、生物の生存に有利な反応であったとすると、そのことは自然に規則性があることの証左となります(証明にはなりません。p→r,p┣rは、rの証明になりますが、p→r、r┣pは、pの証明ではなく、pの証左となるだけです)。