81 オペラント行動の失敗から意識が発生する(空想的)物語  (20220619)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

「どのようにして意識が発生するのか」という問いへの答えは、物語形式になるでしょう。その物語の証明ないし正当化が必要になりますが、とりあえず、意識の発生の「整合的な物語」(つまり現在の私の知識と矛盾しない範囲で、最も在りそうな物語、空想、妄想、推測、思弁の類)を作ってみたいとおもいます。

オペラント行動は、探索の一種です。探索の失敗から探索の意識が生じるだろうと推測します。

オペラント行動の失敗については、前に次のような場合に分類しました。

(1)弁別刺激の錯覚や誤解の場合

(2)行動の間違いの場合

(3)強化刺激の錯覚や誤解の場合

(4)弁別刺激と行動と強化刺激の三者の結合関係の誤解の場合

これらは、行動の失敗の原因の分類になります。一般的に行動の失敗の原因としては、事実の誤認(知覚の失敗)と行為能力の誤認が考えられますが、原因が何であれ、行動に失敗したときには、もしそれが意識的な行動であった場合には、失敗を切っかけとして、「…しよう」と意図していたことを意識することになるとおもわれます。オペラント行動の失敗もまた、上記のようにいろいろな原因によって生じるでしょうが、原因が何であれ、失敗を切っかけとして、「…しよう」と意図していたことを意識することになるとおもわれます。ただし、それはもともと意識をもつ主体の場合です。

前に、知覚が意識されるのは、探索に対する答えとしてであろうと言いました。行動が意識されるのも、探索に対する答えとしてであろうと思います。ただし、その場合に、その探索が意識されていることが必要です。意識的な探索の答えとして、知覚や行為(ないし行為内意図)が意識されるのだろうと思います。

では、探索が意識されるのは、どのような場合でしょうか。探索が意識されるのもまた、探索が失敗した時だろうと思います。前に、知覚の失敗によって、知覚を意識すると言いました。それは、知覚の失敗によって探索が失敗し、探索が意識的になるので、知覚の失敗が意識され、その結果知覚が知覚として意識されるのだろう、と推測します。また前に行動の失敗によって、行為内意図を意識することになるとどこかで述べたような気がします。行動の失敗によって、探索が失敗し、探索が意識的になることによって、行動の失敗が意識され、意図(行為内意図)が意識されるようになるのだろう、と推測します。

このように、意識の発生は探索の失敗、オペラント行動の失敗によると推測します。しかし、オペラント行動に失敗しても、鶏やネズミや猫や犬が、意識を持つようには見えません。もし鶏やネズミや猫や犬がオペラント行動に失敗しして、意識的になるのならば、失敗を何度が経験すれば、最初から意識的にオペラント行動や試行錯誤をするようになるでしょう。意識的に試行錯誤するとは、考えてから行動(試行)するということです。しかし、鶏やネズミや猫や犬は、(私には)試行の前に考えているように見えません。

意識をもたない動物がオペラント行動をするときに、試行錯誤するとき、それは意識なしの試行錯誤(意識なしの探索)です。つまり、不快な状況にある時それを変えようとして、動き回り、たまたまある行動の後に快適な状態になったとすると、その時のきっかけになった行動を行うようになるというのが、オペラント行動の始まりだろうとおもいます。

これに対して意識的に探索する動物が、試行錯誤するときには、おそらく目的を意識し、状況を意識的に知覚し、そこから可能な候補を一つ(場合によっては、複数)考えて、それを試行するでしょう。つまり実際に行動にとりかかる前に、一旦停止し、その後で行動を始めるのではないでしょうか。(それは、ちょうど突然の物音や光に静止し、その方を注視する「定位反射」に似ていると思います。下等動物では、定位反射の後に続くのは、別の反射行動でしょう。たとえば、外敵をみつけたなら逃げる、などです。)では、猫や犬は、ソーンダイクの試行錯誤の実験において、試行にとりかかる前に、「一旦停止」するでしょうか。ネットにある動画では、それが編集されているために、そのあたりがよくわかりません。

ただし、オペラント行動の失敗から意識を獲得する動物はいます。少なくとも人間はそうですし、マカクやチンパンジーもそうかもしません。猫やイヌも、可能性は低いですが、そうかもしれません。しかしオペラント行動をするが、意識を持たない動物がいます。例えば、鶏など。オペラント行動の失敗から意識的になるかどうかどうかを分けるのは、おそらく脳の構造の違いにあるのだろうとおもいます。では、意識を持つためにはどのような脳の構造が必要でしょうか。次回は、これについて(思弁的に)考えてみます。

投稿者:

irieyukio

問答の哲学研究、ドイツ観念論研究、を専門にしています。 2019年3月に大阪大学を定年退職し、現在は名誉教授です。 香川県丸亀市生まれ、奈良市在住。

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