カテゴリー: 日日是哲学
このカテゴリーは、前に「身辺雑記」というカテゴリー(書庫)であったもののタイトルを換えて、カテゴリーリストの先頭に移したものです。
ここでは日々徒然なるままに考えたことを書き記したいとおもいます。徒然なる哲学日記のようなものです。「日日是問問)」(日々問いを問う)にしようかとも思いましたが、わかりにくいのでこのタイトルにしました。日々の哲学的断想を書き記します。
本当の理由が本当の理由になる理由
財政赤字の原因が、富裕層と法人への減税であるとしたら、それをもともに戻すことが、その解決なのです。そのときに常に言われるのが、そうしたら、富裕層や法人が外国に逃げ出すということです。あるいは企業の国際競争力が落ちると言うことです。
じつは、税率を下げるときにも同じことが言われてきました。しかも、先進国はまったく同じ理由によって、まったく同じようにこれらの税率を下げてきました。
最近は、財政赤字に取り組まないことが将来世代への負担の押し付けになる、という世代間不公平が喧伝されています。将来世代の負担といっても、高い消費税率や年金カットで苦しむのは、将来の中流、下流の人々です。世代間不公平より重大なのは、階層間不公平です。今すでに、我々は階層間不公平の付けを支払わされています。
財政破綻しても富裕層や大企業が損をしないことが、財政赤字が増大し続ける本当の理由だと書きました。
しかし、なぜこれが理由になるのでしょうか。
国家の政策は、国民の世論や国民代表者によって決定されいているのではないでしょうか。それならば、国民の大多数である労働者の意見が反映されないのは、どういうことでしょうか。
それは、国民の世論がマスコミによってコントロールされているからではないでしょうか。
そして、マスコミは、スポンサーである大企業によってコントロールされているのではないでしょうか。
企業の政治献金も問題ですが、企業のマスコミ献金(広告スポンサーになること)が問題なのではないでしょうか。
などと偉そうなことを言っても、今のところ、代案はありません。
財政再建に取り組まない本当の理由?
現在の日本はなんだか長いトンネルの中を走っているみたいです。
「格差問題」の書庫で以前に2008年10月16日に書きましたように、先進国の財政赤字の原因は、1980年代から富裕層の所得税率と法人所得税率を下げたことにあるとおもいます。
したがって、財政破綻を防ぐには、それらを元に戻すことが必要だと考えます。
しかし、そのように主張する政党がないのはどういうことでしょうか。
しかし、このままでは財政破綻が目に見えています。それでは、なぜその回避にとりくまないのでしょうか。その応えは、財政破綻しても、富裕層や大企業は困らない、ということです。
もし日本が財政破綻すれば、どうなるでしょうか。赤字国債の買い手が見つからず、国債の借金を返済できなくなったとき、おそらく日本政府はIMFに財政支援を求めるはずです。そのとき、IMFがなにをするかは、韓国の通貨危機のときにすでにわかっています。あるいは、現在ギリシア政府が行っている政策でわかっています。
それは、消費税率をあげること、公務員の給与削減、国家予算の大幅なカットであり、
企業支援のための雇用の流動化、投資を促すための投資家保護、です。
結局、財政破綻して、IMFが乗り込んできても、大企業や富裕層は何も損をしません。ひどい目に会いそうなのは、労働者であり、中流、下層の人間です。
目覚めよ!
などと偉そうなことを言ったとしても、こんなことを言うだけでは、何も変わらないのです。
地域研究の人文学からグローバルな人文学へ
好況不況に関係なく経済のグローバリズムは加速しています。インターネットによる情報のグローバリズムも加速し、世界を大きく変えつつあります。こうした中で、大学の国際化も音を立てて加速しそうです。こんな中で我々の文化は、また人文学は、どうなるのでしょうか。
伝統的な人文科学は、哲学研究も、文学研究も、歴史研究も、どれも地域研究として位置づけられることになるでしょう。人文学が、人の生き方、価値観、文化のもっとも重要な部分に関わり続けようとするのならば、単なる地域研究に読み替えられてしまうような研究ではなく、我々の生きている現実、つまりグローバル化しつつある現実をあつかう「グローバルな人文学」に変貌する必要があります。
それは、これまでの人文学が扱ってきた対象とは別のグローバルな現象を取り扱うということではありません。これまでの人文学が扱ってきた対象をグローバルな視点から再解釈するということです。
グローバルな視点から再解釈するとは、次ぎの二つのことです。
①地域を越えたグローバルな広がりの中に位置づけなおすということ
②グローバライゼーションのという世界史的な動きの中でそれがもつ意味を再解釈すること
皆様、よい年をお迎えください。
東アジア共同体と日米同盟
「東アジア共同体」構想に対して、USA高官が反対していると言うニュースがYahooにありました。
今後数十年は、日本の外交は、この二つをどう調和させるかという問題にとりくむことになりそうです。この外交課題は、日本に限らず、韓国、台湾、フィリピンでも同様の問題になるはずです。
中国の経済発展が続いて、1,2年のうちに日本を抜き、2,30年後にアメリカを抜くとすれば、経済的には「東アジア共同体」が生まれてくるでしょう。これは、日本の経済を考えるときに必要になってくる選択肢です。そのときの危惧は、中国の政治体制が民主的ではないということです。現在の共産主義体制のままの中国とともに共同体を形成することは、東アジアの民主化にとって、好ましいことではないと思います。アジアの民主化、中国の民主化のためには、日米同盟を含めて、東アジアの国のアメリカとの同盟関係が重要になってくるとおもわれます。経済発展を取るか、社会の民主化をとるか、ととわれれば、私は民主化をとります。
人々の権利を守ることは、人々の利益をまもることより重要です。中国が緩やかに民主化することを願います。
ご無沙汰してしまいました
すっかりご無沙汰してしまいました。
前回の発言は、4月27日でしたので、4ヶ月余りのご無沙汰です。
授業の準備とか、学会発表とか、学内の雑用とか、忙しかったことと、
「一つの脳に一つの心?」という書庫を立ち上げたものの、それを展開することができなかったこと
などもあって、ついついご無沙汰してしまいました。
ぼちぼち再開します。
ところで、民主党が政権をとりました。
オバマがアメリカ大統領になったことは、世界史的な出来事だとおもいますが、
民主党政権の誕生は、日本の政治にとって大変大きな意味を持つことになるだろう思います。
まずは、民主党の主張のとおり、官僚政治を打破して、政治家主導の政治にしてほしいと思います。
そうでなければ、何のための選挙なのかわかりません。
今後しばらくは、マスコミは、
自民党からの政権移譲が適切に行われるかどうか、
民主党が官僚政治を打破できるかどうか、
という二点に絞って、現状を報道してほしいものです。
日本は、経済では、もはや世界もアジアもリードできませんが、
日本は、民主主義では、アジアをリードできる可能性が見えてきたとおもいます。
民主的な政治、民主的な社会の実現は、日本にとって、アジアに貢献できる目標になるのではないでしょうか。
話は、ずいぶん飛びますが、民主党政権にまず取り締まってほしいのは、サービス残業です。
サービス残業がなくなるだけでも、日本はずいぶん住みやすい社会になるだろうと思います。
しかも、それは当たり前の労働者の権利です。
春を迎えて
歴史の歯車が回った
秋も深まり、紅葉から落葉になろうとする森の中で。
11月4日の投票で、Obama氏の次期大統領就任が決定しました。
人類の歴史の歯車が予想よりも早く一つ回った、という感じですね。
今年の金融危機よりも、もっと大きな歴史的な事件になるのではないかと思います。
大変めでたい事です。アメリカにとってだけでなく、世界にとっても、
人種差別や民族差別の克服に向けての、非常に大きな一歩です。
そのObamaの政策によって、世界の経済は新自由主義から、少し違った方向に向かいそうです。
ヨーロッパ風の社会民主主義の傾向に向かうのかもしれませんが、それとは違った方向が出来てきそうな気もします。
少しは落ち着いた世の中になっていってほしいものです。