エントロピー3

     またしても秋吉台です。この高原が水で浸食されていくのも
     エントロピーの増大・・・
 

凡人さん、森田さん、コメントありがとうございました。
 
 ボルツマンとH定理をWikipediaで調べてみました。(インターネットは、便利です。)
 ボルツマンのH定理の功績は、巨視的な熱力学の第二法則を、分子運動に関する統計力学から説明したことにある、と理解しました。(ボルツマンによるエントロピーのこのような説明が、私が考えていたことと同じことなのかどうか、いまひとつ確信がもてません。がそれは、次の質問で明らかになるも知れません。)

 森田さんは、
「そのような人間の解釈に過ぎない(客観的に見ると何の特別性もない)エントロピー最小状態が宇宙初期に実現していたということが,いまの宇宙論ではおおきな謎になってしまうのです.」
と書かれています。

そこで確認したいのですが、ボルツマン(or森田or現代の物理学者たち)は、次のように考えているのですね。
<「宇宙の初期の状態は、エントロピー最小状態である(あるいは、宇宙の現在の状態よりも、エントロピーが小さい)」という主張は、人間の解釈にすぎぎない、つまり宇宙の初期状態を、現在の状態と比較するとき、客観的にみて何の特性もない。>

もしこのようにいえるとすると、森田さんのいう「おおきな謎」は、むしろ次のように問うべきなのではないでしょうか。
<我々はなぜ、宇宙の現在の状態よりも、初期状態のほうがエントロピーが小さい、ないし秩序だっている、と解釈するのか? なぜ、我々にとって、そのような解釈が適切であるように思われるのか?>

 もしコメントいただければ、幸いです。

投稿者:

irieyukio

問答の哲学研究、ドイツ観念論研究、を専門にしています。 2019年3月に大阪大学を定年退職し、現在は名誉教授です。 香川県丸亀市生まれ、奈良市在住。

「エントロピー3」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS:
    >「宇宙の初期の状態は、エントロピー最小状態である(あるいは、宇宙の現在の状態よりも、エントロピーが小さい)」という主張は、人間の解釈にすぎぎない、つまり宇宙の初期状態を、現在の状態と比較するとき、客観的にみて何の特性もない。

    う~ん,もちろん,「現在のような状態が実現するためには宇宙の初期はこのようでなければならなかった」という議論はありますよ。ただ,「そのようでなければならなかった」その状態は,客観的に見て「自然」な状態ではない,それがひとつの問題点なんですね。

    あと,「エントロピー」という物理量自体は正確に数学的に定義されています。

    私が言ったのは,そのように定義された物理量を「エントロピーが高い=無秩序」というのはわれわれの「解釈」ですということです。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    整理すると,1.エントロピーと秩序を結びつけるのはあくまで解釈である。2.エントロピー自体は数学的に定義された物理量である。3.現在の状態を実現するためにはエントロピー最小の状態でなければならない(これに関しては絶対的にそうなのかどうかはわかりません)4.エントロピー最小というのは統計力学的に言うと「状態数が少ない」状態なので(そしてそれ以外には特別な客観的意味がある状態ではないので),それが宇宙初期において実現しているのは謎だ。

    ということです。それで本文に戻りますと,もちろん「我々はなぜ、宇宙の現在の状態よりも、初期状態のほうがエントロピーが小さい、ないし秩序だっている、と解釈するのか? なぜ、我々にとって、そのような解釈が適切であるように思われるのか?」は興味深い問いではありますが,私が先に述べた「謎」とはあまり関係ないと思われます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です