[カテゴリー:人はなぜ問うのか?]
動物が行う探索をいくつかの段階に分けることができます。
①見かけ上の探索(意図的ではないが意図的探索であるように見える行動)
②無意識的な意図的探索
③意識的な意図的探索
④言語的、意識的、意図的探索
⑤言語的、無意識的、意図的探索
探索というのは、常に意図的探索であるので、上記の意図的は冗語ですが、意図がどのように生じるのかにも注意して考察を進めたいので、書いておきます。
①と④と⑤は、存在するといってよいでしょう。⑤は、発達の上では、④が可能になった後に発生する探索だと思います。
問題になるのは、②と③です。
「②と③があるのかどうか」「②と③はこの順番に登場するのか、それとも同時か、それとも③が登場した後で②が生じるのか」
探索に注目したこのリストには登場しませんが、「意図的でない意識が存在するのかどうか」「意識は常に意図の成立を前提するのかどうか」なども、重要な問題になります。
前回最後に述べましたが、これらの問題に取り組むには、ボトムアップの方法で、①から出発して、どのように④や⑤への発展が生じるのかを見ていくか、トップダウンの方法で、④⑤から出発して、それがどのように③から、③がどのように②から、②がどのように①から成立するかを、考察する方法があるだろうとおもいます。(この後者のアプローチでは、グライスの意図ベース意味論で、重要な役割をはたした「再帰的意図」が重要になるだろうとおもいます。おそらく「意識の成立」は「再帰的意図の成立」また「探求発見(問答)の成立」として説明できるだろうと予測しますが、それだけで十分であるかどうかは、まだわかりません。)ただし、トップダウンの方法を成功させるためにも、しばらくボトムアップで考察したいと思います。(結局両方必要だということになりそうです。)
次回からしばらく、茂木健一郎『脳とクオリア』の議論を紹介し検討しながら、意識とクオリアの発生について考えたいと思います。