[カテゴリー:問答の観点からの認識]
(昨日、スピノザとドイツ哲学についてのZoom研究会があり、発表の準備のために更新がおくれてしまいました。研究会の方が有意義でした。Zoomは、便利ですね。)
「世界は斉一的である」とは、「世界の現象は規則的である」という意味であり、さらに明確に言えば、「世界の全ての現象は規則的である」と言い換えられるでしょう。これは帰納推論をするときに、前提として想定されていることです。
この命題は全称命題ですから、単称の観察命題では検証できません。
ではこの命題は反証可能でしょうか。これは、「すべてのxに関して、xが世界の現象であるならば、xを支配している法則がある」と言い換えられますが、これは、xを支配する法則が、具体的にどのような法則であるかは述べていません。このような命題は反証不可能です。より一般的に言って、「条件Cを満たす対象が存在する」という形式の命題は、具体的にどの対象がその条件Cを満たすかを述べていないので、反証することができないのです。
「世界は斉一的である」は、「分析的に真」ではないでしょう。なぜなら「斉一性」は論理的概念ではないからです。では、これは「P-妥当的」でしょうか。しかし、これは物理法則からは、導出できません。従って「P-妥当的」でもありません。では、これは擬似対象文ではなくて、対象文なのでしょうか?