臼杵の石仏です。
3、矛盾とその解消 (20140124)
<議論1>
社会制度は社会的な問題に対する答である
言語もまた社会制度である
故に、言語もまた社会的な問題に対する答えである
故に、社会的な問題は、言語の成立以前に成立している。
故に、社会は、言語より前に成立している。
<議論2>
動物の群れと人間の社会を区別するものは、言語である。
言語によって、人間社会が誕生する。
故に、言語の誕生と人間社会の誕生は、同時であるか、あるいは言語の誕生が先である。
この矛盾を解消するには、<言語はいっときに発生したものではなく、すこしずつ発達したものである>ということを考慮しなければならない。
問いの発生以後の言語の発達は、問に対する答えとして説明できるが、問いの発生以前の言語の発達は、問いに対する答えとしては説明できない。
<動物と人間社会を区別するのは、言語の有無だ>を認めるとしよう。
しかし、動物もある意味では言語を持つ。カールビューラーによれば、言語には、3つの機能(叙述的、喚起的、表現的)があるが、動物の言語もそれらの機能を持ちうる。動物の言語にないのは、問うことではないだろうか。もしそう言えるとすれば、ビューラーのいう言語の3つの機能も、それぞれ問に対する答えとして発話される場合と、そうではない場合の二つに分けることができる。つまり、より正確には次のように言える。<動物と人間社会を区別するのは、問いの発話の有無だ>
これに従うと、先の<議論2>の中の「言語によって人間社会が誕生する」も、より正確には「問いの発話によって、人間社会が成立する」(より簡潔に言うと、「問いは社会に先行する」)となる。また<議論1>のなかの「言語もまた社会制度である」も、より正確には「問いへの答えもまた社会制度である」(より簡潔に言うと、「問いへの答えは社会である」)となる。この二つは、もはや矛盾しない。
では「問い」はどうだろうか。上記の<言語の成立>と<社会の成立>の循環ないし矛盾と同様のことが、<問いの発生>と<社会の成立>の間に生じないだろうか。
face=”MS 明朝”>それを次に考えよう。
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