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サールは、『志向性』では、知覚と意図的行為について主として述べており、志向性全体の分類は示されていない。記憶、信念、事前意図、行為内意図、願望、も取り上げられているが、全体として分類整理されてはない。しかし、サールはMaking the Social World, Oxford U.P. 2010(『社会的世界の制作』三谷武司訳、勁草書房)では、全体をきれいに整理している。
(邦訳では、知覚の「適合の方向」の矢印が↑となっていますが、これは誤植です。正しくは上記のように↓ですので、混乱しないようにしてください。)
適合の方向が。↓であるのは、心を世界にfitさせるということことであり、↑は、世界を心にfitさせるということです。因果の方向↑は、世界の状態が心的状態を引き起こすということであり、↓は、心的状態が世界の状態を引き起こすということになります。因果の方向が「非該当not aplicable」なのは、信念と願望の場合には、世界と心の間に因果関係がないということです。
因果の方向があると場合には、「因果的自己言及」(Causallly self-referential condition)をもつとされます。
この因果的自己言及性を持つかどうかは、それぞれの志向性の特性を考察するときに、重要な違いになります。
次に、信念と知覚の違いを考えたいと思います。