17 ノーベル賞と聖人 (20201008)

[カテゴリー:日々是哲学]

「真理」の社会的有用性、「真理」の社会的重要性は、「神」のそれに似ている。「科学信仰」が「神への信仰」と共有しているのは、真理が重要だという点である。

 真理は、個体が生存するために重要であるが、共同体や社会が自己を維持するためにも重要である。それゆえに、社会は科学研究をコントロールしようとする。ノーベル賞受賞者が、聖人のように扱われるのは、真理が社会的に重要だからである。真理は社会問題の解決に役立つ。それゆえに、真理は社会的に有用である。社会制度は真理の上に成立している。政府が学術会議を支配しようとすることと、ノーベル賞受賞者を聖人のようにあつかうことは、結合している。

投稿者:

irieyukio

問答の哲学研究、ドイツ観念論研究、を専門にしています。 2019年3月に大阪大学を定年退職し、現在は名誉教授です。 香川県丸亀市生まれ、奈良市在住。

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