179 記述的問答の下位区分と方法的問答の下位区分(2)Subdivisions of Descriptive Question-and-Answer and Subdivisions of Methodological Question-and-Answer (2) (20260910)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

前回は、記述的問答を次の二つに下位区分した。

(1)自然的事実(自然的出来事)の記述的問答

(2)規範的事実の記述的問答

ここで重要なことは、全ての事実を「自然的事実」と「規範的事実」に分けるとき、問答という出来事は、(2)に分類される、ということである。

記述的問答は、規範的事実であり、自然的事実ではない。ただし、「自然的事実の記述的問答」は、規範的事実(出来事)である。そして「規範的事実の記述的問答」それ自体もまた、規範的事実(出来事)である。

これらの二つの事実に対応して、方法的問答を次の二つに下位区分できる。

  • 技術的問答:「ある自然的状態を実現するために、どうすればよいのか」と問い、答えることである。
    • 実践的問答:「ある規範的状態を実現するために、どうすればよいのか」と問い、答えることである。

前回述べたように、問答は規範的事実である。それゆえに記述的問答が規範的事実であるのと同様に、方法的問答も規範的事実である。

どんな問いであれ、問いを立てそれに答えられないとき、私たちは「どうやってその問いにこたえたらよいのか」と問うだろう。これは「ある問答(規範的状態)を実現するために、どうすればよいのか」と問うことであり、この問いを問い、それに答えることは、実践的問答である。

次に、意思決定の問答の下位区分を考えてみよう。

178 記述的問答の下位区分と方法的問答の下位区分(1)Subdivisions of Descriptive Question-and-Answer and Subdivisions of Methodological Question-and-Answer (1) (20260906)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

(方法的問答の3つの下位区分のうちの第三のものがどのようなものになるかを説明すると予告して考えてきたが、むしろ下位区分を二つにする方がよいかもしれないと思い始めた。今回は、それを検討したい。)

私は、最初は、問答を3つ(理論的問答、実践的問答、宣言的問答、あるいは次の3つ記述的問答、意思決定の問答、宣言的問答)に区別し、その後4つ(記述的問答、方法的問答、意図決定の問答、宣言的問答)に区別するようになった。記述的問答は、記述的真理性をもち、方法的問答はプラグマティックな真理値をもつ。次に、それぞれの下位区分を考えようとした。そこで、記述的問答と方法的問答の間には、次のような密接な関係があることに気付いた。

#記述的問答の下位区分と、方法的問答の下位区分の関係

方法的問答は、次のような形式であった。

「Aを実現するには、どうすればよいのか」「Aを実現するには、Bすればよい」

したがって、方法的問答を、それが実現しようとする状態の区別によって、区別することが可能である。そして、この実現しようとする状態Aは、記述的問答によって記述されるものである。したがって、方法的問答を実現しようとする状態によって区別するとき、その区別は記述的問答の区別に対応する可能性がある。

では、記述的問答の下位区分はどうなるのだろうか。

#記述的問答の下位区分

記述的問答の下位区分については、以前に(139、140、141回)で考えたことがあるが、それはまだ不十分なものだった。ここでは、記述的問答を「自然的事実」の記述的問答と「規範的事実」の二つに区別する可能性を考えてみたい。

(1)自然的事実(自然的出来事)の記述的問答

自然的事実と出来事はどういう関係にあるのか。「事実」は、ある瞬間の状態、あるいはある時間持続する状態を意味するだろう。出来事は、状態の変化を意味するだろう。

「机の上にリンゴがあるか」という問いは「机の上にリンゴがある」という事実が成立しているかどうかを問うている。「私は机の上にリンゴを置いた」という出来事は、机の上にリンゴがない状態からリンゴがある状態への変化を意味している。「自然的出来事」は、これは、「因果の空間」で成立する出来事である。

(これをさらに次のように区別できるかもしれない。

・観察や実験によって得られる経験的単称命題、

・経験的単称命題から得られる全称命題

・理論語をもちいる理論命題 )

木の机は、自然法則に従っている。ただし、木を机にする作業は、人間の行為によるものであり、自然法則を利用するが、自然法則だけでは木が机になることお説明できない。木から机をつくる行為は、自然的な出来事ではない。これは、「人為的な出来事(man-made event)」である。人間の行為や行為によって作られた対象は、規範に関わる規範的事実や規範的出来事である。

(2)規範的事実の記述的問答

規範的事実や規範的出来事とは、規範的語彙をもちいて記述される事実や出来事である。規範的語彙とは、「…すべきである」(義務)、「…してもよい」(あるいは「…する必要はないが、してもよい」)(許可)、「…してはならない」(禁止)という語彙とこれらの語彙をもちいて言い換えられる語彙である。

「私たちは、買い物をするときには消費税を払わなければならない」という発話は、規範的事実を記述している。「彼女は、今日買い物をしたときに、消費税を支払った」という発話は、規範的出来事を記述している。規範的事実は、規範的出来事に還元できるかもしれない。しかし、理論命題を経験命題に還元できないように、規範的事実を規範的出来事に還元することは出来ないことが多い。

全ての事実を「自然的事実」と「規範的事実」に分けるとき、問答という出来事は、(2)に分類されるだろう。「規範的事実」は、「言語的事実」と呼んでもよいし、「問答的事実」と呼んでもよいだろう。

記述的問答のこの下位区分に基づいて、次に方法的問答の下位区分について考えたい。