49「法則」とは何か、問答の観点から (20211026)
[カテゴリー:問答の観点からの認識]
#法則と「なぜ」の問いの関係
提案:<全称命題pが、法則となるのは、それについての「何故pなのか?」という問いに答えがある時です、言い換えると、pの原因がある時です。>
(注1:ただし、この「何故pなのか?」という問いは、「p」の原因を問うものであって、「p」の根拠を問うものであってはなりません。では、原因を問う「なぜ」と根拠を問う「なぜ」をどのようにして区別したらよいでしょうか、これは宿題にさせてください。)
(注2:全称命題pは原因を持つことによって、法則になる、つまり必然性を持ちます。(この「必然的に成立する」というのは、全ての可能世界で成立するということではありません。なぜなら、自然法則はあらゆる可能世界で成り立つものではないからです。では、この「必然的に成立する」はどのような意味になるのか、これを説明する必要がありますが、これもまた宿題にさせてください。)
#原因についての「なぜ」の問いに答える時には、常に法則を前提とする推論が答えとなる。
ある事実pの原因を問う「なぜ」に答える時には、明示的であれ、暗黙的であれ、何らかの法則を前提としている。たしかに、一見するところでは前提に法則を含まない推論の場合があるが、その場合でもその背後には暗黙的に法則が前提とされている。例えば次である。
「なぜリンゴがテーブルにあるのですか?」「なぜなら、私が買ってきたからです」
ここでは、テーブルに置いたリンゴはひとりでに移動したりしない、と言うことが前提になっており、この前提は、慣性の法則に基づいている。したがって、ここでも隠された法則が働いている。このように、「なぜ」の問いに答える時には、常に何らかの因果法則が前提になっている。
法則pについて「なぜ法則pが成立するのか?」と問うとき、これの答えとなる推論も、明示的ないし暗黙的に別の法則を前提としている。
#次の説明を次回に行います(今日は時間がないので)。
<法則は、経験法則と理論法則に区別可能であるが、経験法則は、他の全称命題を導出してもそれを法則とすることはないが、理論法則は、他の全称命題を法則にすることが可能である。>