[カテゴリー:問答の観点からの認識]
(オペラント行動を考察するまえに、走性と無条件反射における外部刺激についての補足します。)
走性とは、方向性を持つ外部刺激に対する動物の反応です。前々回話したように、ウジは負の走光性をもちます。ウジが明るさを「感じている」と言うことはできないでしょうが、明暗の刺激に反応していることは間違いありません。走性を引き起こす外部刺激には、明るさとか、水とか、水流とか、温度とか、湿度などがありますが、もしこれらを感じるとしたら、その感覚内容な非常に単純なものであり、クオリアと呼ばれているものにあたります。
脊椎動物の無条件反射(脊椎反射)もまた、それを引き起こす刺激は単純なものであり、脊椎反射では、脳を介さずに(つまり感覚刺激が脳に伝わって、そこで感覚として感じられることを介さず)行動が行われているので、刺激が感じられる前に反応が行われているのですが、しかしもしそれが感じられたとしたら、その多くはクオリアとみなされている非常に単純な感覚になるでしょう。
これらの走性や無条件反射の外部刺激は、一定の反応を引き起こすのですから、機能主義で説明できます。私は、ギルバートハーマンが、クオリアを機能主義で説明することに賛成します(ハーマン「経験の内在的質」)。もちろん、走性や反射を引き起こしている刺激を発達した動物が脳で感じるときに持つことになるであろう(走性や反射より以上の)機能を明示できなければ、いわゆるクオリアを機能主義的に説明したことにはならないのかもしれません。ただし、クオリアを経験の対象の性質だとするならば、走性や反射を引き起こす外部刺激はクオリアだといえるでしょう。クオリアは、対象の性質ですが、動物にとっては、その性質は動物の探索に相関して現象する性質だといえます。
動物の進化における初期の外部刺激は、クオリアに相当するものであり、それは明確な機能をもっていました。それは「見かけ上の探索」に対する答え(外部刺激)として成立し、機能主義で説明できそうです。