30 民主主義と「放送法」 (20210506) 

[カテゴリー:日々是哲学]

民主主義のためには「報道の自由」が必要です。「報道の自由」は、日本国憲法21条

「第二十一条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

の「表現の自由」のなかに含まれていると考えられています。

「放送法」第一条もまた「表現の自由」に言及しています。

「第一条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。

三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。(放送番組編集の自由)」

しかし、次の「放送法」第93条は、この表現の自由、報道の自由と矛盾するものになっています。

「放送法」「第九十三条 基幹放送の業務を行おうとする者(電波法の規定により当該基幹放送の業務に用いられる特定地上基幹放送局の免許を受けようとする者又は受けた者を除く。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当することについて、総務大臣の認定を受けなければならない。」

つまり、放送局免許は、総務大臣の認定によるということ、つまり政府の認定による、と言うことです。これは、憲法違反ではないでしょうか? これでは報道の自由は損なわれますし、現に非常に損なわれています。国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)による「世界報道自由度ランキング」の2021年版では、日本は71位でした。

放送局の免許の認定は、国会が定める第三者機関に委ねるのがよいと思います。

「放送法」の改正は、民主主義の実現のために緊急の課題だと思います。