16 第二性質と素朴実在論 (20210530)

[カテゴリー:問答の観点からの認識]

素朴実在論に対する最も基本的な批判としては、色や匂いなどの第二性質が対象そのものに属していないということがあります。色そのものは、対象には属さず、対象の表面で反射する光が眼に入って生じる性質だと考えられます。しかし、素朴実在論者ならば、対象そのものが色をもつと考えるはずです。この矛盾をどう考えたらよいでしょうか。

私たちが色をどう知覚するかを考えてみましょう。私たちは、面を見て、そこに色を見ないことはできません。つねに何らかの色を見るでしょう。しかも、同じような条件下では、同じような色を見ます。その意味で、色は一回的なものではなく、反復可能なものです。色は、対象の表面そのものがもっている性質ではないかもしれませんが、対象の表面が太陽光のもとで光を反射して網膜の視神経を刺激して、その発火が大脳に伝わり視覚野で一定の発火パターンをもつときに付随する感覚です。ここには、形や大きさという第一性質の知覚の場合とは異なる主観的な現象が生じているわけではありません。色は知覚の状況によって変わって見えますが、形や大きさも知覚の状況に応じて変化して見えます。円盤は斜めからは楕円に見え、沈む夕日は大きく見えます。

したがって、第一性質と第二性質を区別して、第一性質についてだけ、対象の性質そのものを知覚しているとは言えません。つまり、いわゆる第二性質の存在は、素朴実在論とは矛盾しないのです。