14 オペンラント条件づけの再説明(20201213)

[カテゴリー:人はなぜ問うのか?]

 前回述べた「オペラント条件づけ」の説明が全く不十分だったので、説明をやり直します。

スキナーは、オペラント条件づけの実験のためにスキナーのオペラント条件づけの実験では、スキナーは、「スキナー箱」と呼ばれるようになる箱を用いた。その箱は、その中にねずみをいれておいて、ブザーが鳴ったときに偶然ねずみがレバーを押すと餌が出てくる仕組みになっている。ブザー(弁別刺激)が鳴ったときにねずみがレバーを押す行動(オペラント行動)を測定する。

ここには、3つの項目、「弁別刺激(ブザー)」-「反応(レバーを押す)」-「反応結果(餌が得る)」の関係があり、この関係は、「三項随伴性」と呼ばれている。(この三項随伴性の分析は、

先行条件(Antecedents)、行動(Behavior)、結果(Consequences)の頭文字をとってABC分析と呼ばれており、行動療法でよく用いられる。)

 前回の説明では、この「弁別刺激(ブザー)」に言及していなかったので、訂正する必要がありそうです。

 ところで、この弁別刺激は果たして必要なのでしょうか。仮にブーザーがなく、単にレバーを押せば餌が出てくる仕組みにしておければ、ネズミは、餌を取るために、レバーを押すことを学習するでしょう。ただし、この場合には、レバーの知覚が、弁別刺激になっていると考えることが可能です。オペラント行動があるときには、どんな場合にも、私たちはそこに弁別刺激を見つけることができるのではないでしょうか。その例をいくつか上げてみましょう。

 例えば、「おすわり」の命令(先行刺激)を受けて、座り(反応)、褒美の餌を手に入れる(結果)これの反復によって、犬を訓練する。

 例えば、川の特定の場所で鮭を捕まえた熊は、鮭を食べるとき、川の特定の場所の知覚が弁別刺激であり、そこでの魚を探すことが反応であり、魚を捕まえて食べることが結果である。

 例えば子供が、箱を開けてそこにあるお菓子を手に入れることを学習するとき、箱の知覚が弁別刺激であり、それを開けることがオペラント行動であり、お菓子を手に入れることが結果である。

 例えば、子供が、熱いストーブに触らないことで、やけどを避けることを学習するとき、熱いストーブの知覚が弁別刺激であり、ストーブに触らないことがオペラント反応であり、やけどしないことが結果である。

 オペラント条件づけでは、後続する結果とは関係なく偶然に行った行動、つまりその他の原因で行った行動につづいて、自分に都合のよい結果(あるいは都合の悪い結果)が生じるという経験が一回あるいは何度が起こることによって、その行動をするようになる(あるいはしないようになる)はずです。オペラント行動する動物が、後続する結果を意図して行うのではないでしょう。意図してその行動を行うとすれば、それはまた別のメカニズムである。オペラント条件づけは、少なくともそれが動物の進化上最初に登場したときには、結果状態の表象や結果状態を引き起こそうとする欲求や意図なしに、生じたメカニズムだと思われる。

 しかし、オペラント行動に結果状態についてのイメージをもつ動物もいるかも知れない。もしいれば、オペラント行動には、2つの段階の区別が可能であろう。例えば、上の例の、犬の訓練の場合、ご褒美のイメージを持っている可かもしれない。しかし、動物が、結果状態のイメージを持つことをどうすれば、判別できるだろうか。これについて、次回に考え、人間の探索との類似性と違いついても考えたい。